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生活環境 近年のケナフ事情

日本全土 一時期もてはやされたケナフ。今でも取り組みは続いている。

 紙の原料は木材に限られる訳ではない。サトウキビやテンサイなどの搾りカスから採れるバガスをはじめ、竹、ワラ、ヨシ、マニラ麻、クマザサ、パームヤシ、海藻といった木材ではない繊維原料からもパルプを作ることができ、これらの紙製品は、総称して非木材紙と呼ばれる。

 その歴史は決して浅くないが、使用実態の把握が難しいことから明確な普及率は算出されていない(1%に満たない水準で推移しているとされる)。それでも飲食店で使われる紙ナプキンや割り箸の袋などで非木材紙のマークを見かけることもあるため、実際の流通量以上に存在感があるように思われる。

 非木材原料の代表格はケナフだろう。ケナフはアオイ科フヨウ属の一年草。一年草ゆえ、その生長速度は速く、炭酸ガスの固定化効果も抜群とされ、紙の原料としても優れていることから、同じパルプを作るならケナフを用いた方が温暖化対策にもなるということで、COP3が開催された1998年前後は特に注目を集めたと記憶している。原産は西アフリカであると言われるが、繊維作物として東アジア~東南アジアでも栽培されてきた歴史があるため、日本でも取り組みやすかったようだ。

 日本におけるケナフ普及の先駆者の一人、NPO法人循環型地球環境保全機構(現団体)の荒井進 理事長に今後の見通しなどについて話を伺ったところ、「中国ではケナフの栽培は盛んだが、パルプを作る工場・企業が現地にないのがネック。東南アジアに輸出しパルプ化し、それを輸入しているのが現状」ということだった。

 日本ではもともと産業としては成り立っていないため、第三国で加工したものを取り寄せることになる訳だが、原産国で加工品にできればより調達しやすくなり、一層の普及が図れることになる。栽培地の周囲に与える生態的な影響や、収穫後の保管の難しさ、実際に加工する際に二酸化炭素を排出する可能性がある、といった指摘もあってか、低炭素社会に向けた動きが出てきたのとは逆に、ケナフはあまり話題にのぼらない。こうした調達ベースでのハードルもその一因と言えそうである。

 だが、成果が見えやすく、紙漉きなど体験的要素も大きいことから、環境教育や社会貢献の取り組みとしてケナフは根強く支持されており、学校、公園、工場など全国各地で栽培は続いている。あいにく都内や近郊でその栽培の現場を目にすることはできなかったが、足を伸ばせば見学できないことはない。夏休みの自由研究がてら親子で探訪してみるのもいいかも知れない。(一例:浦安市高洲海浜公園、サッポロビール千葉工場)


参考URL)
・NPO法人非木材グリーン協会(旧・非木材紙普及協会)
 http://www5.ocn.ne.jp/~himoku/

・「印刷・情報用紙」購入ガイドライン改定のお知らせ(グリーン購入ネットワーク)
 http://www.gpn.jp/press_release/press_release_paper_gl0905/release_090520.htm
 *ガイドライン本文の詳細説明にケナフに関する記述あり。


今はケナフが見当たらない「ケナフ草試験栽培地」(東京都府中市)

ケナフ関連グッズ(名刺、ティッシュ、種、うちわ、シャツ)

毛利小学校(東京都江東区)では、校庭の一角でケナフを栽培している(7月に種を植えたばかり。写真は校外の農園を撮ったもの)
記事執筆、翻訳
日付 2009-07-31
筆者 冨田行一 (Koichi, TOMITA)
媒体 寄稿
団体名 東アジア環境情報発伝所
URL http://www.eden-j.org/
翻訳者

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