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ごみ・リサイクル 家電ごみはどこへ行く?

東京 街中で目にする廃家電の無料回収車。集められた廃家電の行方は。

 2008年秋の世界同時不況後、目にする機会が減っていた廃家電の無料回収車。最近、またよく見かけるようになってきた。家電リサイクル法の対象家電は、廃棄にあたりリサイクル費用と運搬費用を支払うことになっているのに、壊れていても無料で引き取ってもらえるのはなぜだろう。発伝所では、この謎に迫るべく、2009年10月9日、日刊市況通信社記者の下部賀一(しもべ・よしかず)さんを講師に招き、学習会(記事タイトルに同じ)を開催した。

 家電リサイクル法では、廃家電を引き取った小売業者が、自ら再使用するか、リユース業者に有償または無償で譲渡する場合、メーカーへの引き渡し義務は発生しない。こうした法の間隙の存在から、排出された廃家電の約半数が行方不明となる「見えないフロー」が、前回の家電リサイクル法改正時に大きな問題となった。

 結局、法改正には踏み込まないまま、「リユースとリサイクルの仕分け基準(ガイドライン)」が新たにつくられ、排出家電の約75%を引き取る小売業者への規制が強化されるにとどまった。下部さんが取材をする限りにおいても、ガイドラインができてからも「見えないフロー」に大きな変化はないという。

 下部さんによると、「見えないフロー」の代表である無料回収車で集められた廃家電は、一部の製品としてそのままリユースできるものを除き、そのほとんどが、重機での破砕後、スクラップとして中国へ輸出されていると考えられるそうだ。

 この背景には、中国の膨大な金属需要がある。中国の急激な経済成長に伴い鉄スクラップ相場は上昇を続け、“工業系雑品”(配電盤やトランス、モーターなど工場の解体などで出てくる鉄・非鉄が混合したスクラップ)は一時期1トンあたり7万2000円の市場最高値をつけるまでになった。これに目を付けた中国系の輸出業者の大量参入も、相場の高騰に拍車をかけた。実際、工業系雑品と廃家電をスクラップした“家電雑品”では、かなりの価格差があるが、相場の高騰で、“家電雑品”でも大いに利益をあげることができるようになったのだ。

 家電をスクラップにする理由は、中国では廃家電の輸入を認めておらず、原形をとどめていては、日本国内で船積み前の予備検査を行う日中商品検査のチェックを通過することができないためだ。さらにエアコンなどはフロンガスの処理をすることなくスクラップされるため、地球温暖化防止という観点からも大いに問題があるのだ。

 2000年以降、ビジネスとして拡大してきた廃家電の無料回収だったが、2008年のリーマンショックによって大きな影響を受けることになる。100年に1度といわれた世界同時不況で相場は1トンあたり1万円前後まで急落。これによって2008年の年末には“家電雑品”にほとんど値がつかず、無料回収業者は壊滅的な打撃を受け、街中で無料回収車の声を聞くことが少なくなったのだった。

 業者が打撃を受けていた最中のことだが、2008年11月に中国政府が4兆元(約57兆円)の公共投資を行うと発表したことで、相場は上昇局面に入った。その後、2009年の春には、軽トラック1台500キロの“家電雑品”で約1万円程度となり、無料回収業者が再び活動を開始するようになったというのが事の経緯である。

 今後、相場が回復していけば、さらなる輸出業者の競争により、“家電雑品”の意図的混入による品質の悪化やスクラップ火災の頻発という事態を引き起こすと、下部さんは警告する。

 さらに、海を越えた“家電雑品”が解体される中国の現場では、極めて深刻な健康被害と環境汚染が発生している。単に規制を強化しても、水際ですべての荷物をチェックすることはできない以上、解決策としては不十分だろう。経済原則を前提としつつも、環境と健康を守る公正な市場づくりに向けた、日中政府の緊密な協力が重要になるだろう。


雑品の山(©日刊市況通信社)

廃エアコン(©日刊市況通信社)

雑線の例(©日刊市況通信社)
記事執筆、翻訳
日付 2009-10-23
筆者 廣瀬稔也 (HIROSE, Toshiya)
媒体 寄稿
団体名 東アジア環境情報発伝所
URL http://www.eden-j.org/
翻訳者

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