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ルート案の綱引きをする以前に、考えておくべきことがある。
東京―大阪間を最短67分で結ぶ構想のリニア中央新幹線の審議が続いている。3月3日には、法律に基づく新幹線計画として認めるかどうかを決める議論が国土交通省の交通政策審議会の一つ、鉄道部会で始まった。
審議でなお最大の論点となっているのはそのルートである。
現在建設予定のルートは
・Aルート:木曽谷ルート(山梨県甲府市付近から木曽谷を経て愛知県名古屋市へ至る大回りルート)
・Bルート:伊那谷ルート(甲府市付近から伊那谷を経て名古屋市へ至る迂回ルート)
・Cルート:南アルプスルート(甲府市付近から南アルプスを経て名古屋市付近へ至る直線ルート)
の3案が提示されており、綱引きが続いている。だが、ルートを決める以前に中央新幹線の必要性、環境適合性などを十分に論じる必要があると思われる。
いずれのルートをとるにしても、営業主体となるJR東海による説明では、
1.電磁波:国際基準に照らして、低いレベルにとどまる
2.騒音:超電導磁気浮上式(レールに接触しない)をとるため、騒音が低く、さらに防音対策により、騒音を低減
3.環境配慮:試算上、一座席当たりのCO2排出量が航空機の1/3程度に抑えられる
といったメリットがあるとしている。
一方、環境影響を含むデメリットとして考えられるのは、以下のような点である。
1.建設費用:総費用は約8.3~9.9兆円になる試算がある。JR東海の自己負担によるとされているが、不透明感が残る。ルート次第だが、中間駅の建設費用など、地元の負担と税金の投入が不可避なものもある。
2.環境影響:リニア新幹線は時速500kmを超えることが特徴。そのため、高速を保つための直線ルートを確保することが望ましく、最短のCルートでは、南アルプスの下にトンネルを掘る必要が生じる。全線で最大8割はトンネル区間になる予定で、東京圏、名古屋圏、大阪圏は大深層トンネルになることも分かった。トンネルを掘れば大量の土が出る。その廃土の処理が問題になってくるだろう。また、長いトンネルは地下水脈に大きな影響を与える。水脈が枯れる懸念さえある。水脈が枯れれば、温泉など地元利益にも大きな影響を与えるのではないか。南アルプスには手つかずの自然が多い。自然破壊につながる可能性も否めない。
3.エネルギー問題:リニア新幹線は超電導式のため、大量の電力を必要とする。リニアの電力消費は現行新幹線の3~5倍、原発2基分(約200万kW)相当と言われている。電力確保のため、原発を含む多くの発電所を増設する必要が出てくるだろう。これは地球温暖化にさらなる拍車をかけるのではないか。
4.電磁波:超電導磁気からは想像を超える磁力が発生し得る。携帯電話などの電磁波の人体に対する影響などが論じられる中、十分な議論が欠かせない。はたしてリニア新幹線は大丈夫なのか。
5.需要見込みへの疑問、料金の高額化:東海道新幹線がある以上、それに並行する新路線にどれほどの需要があるのか問題視される。今後の少子化および人口減少傾向からもその見込みには疑問が伴う。また、料金については、現在の新幹線よりも3~4割高くなるのではないかと予測されている。高額な料金が需要と釣り合うかも問題だ。東京から名古屋(中京)圏まで1時間で行けるため、航空路線への影響も大きく、地方空港がさらに疲弊することにつながることも予想される。
このようにリニア新幹線は施設の重複投資にもつながる。決して環境にいいとも言えず、モッタイナイ投資になるのではないかと思われる。
参考リンク)
・国土交通省 交通政策審議会陸上交通分科会 第7回鉄道部会 議事概要
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/tetsudo01_sg_000061.html
・超電導リニアによる東海道新幹線バイパスの推進(JR東海)
http://company.jr-central.co.jp/ir/annualreport/_pdf/annualreport2009-05.pdf
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