|
セメント工場周辺住民の健康被害が深刻、早急な対策が必要
-喘息および呼吸器疾患など環境性疾患が60%を超える
-クロムなど有害重金属は対象地域の3倍以上
環境正義は寧越(江原道)および堤川(忠清北道)のセメント工場周辺の地域住民、延世大学原州医科大学(コ・サンベク教授)と共同で、セメント工場周辺の地域住民の健康被害について調査(2007年9月~08年4月)を実施した。
-調査対象:寧越および堤川のセメント工場から半径500m~1km以内に居住する住民276人と、セメント工場から40km以上離れた対照地域(江原道原州市光格里)の98人を合わせた計374人。
-調査方法
▲アンケート方式による呼吸器疾患、鼻炎および皮膚疾患の症状など住民の健康調査
▲回答者の中から、重金属への露出状態を把握するための尿検査(クロムなど)
アンケート方式を利用した住民の健康調査の結果、セメント工場周辺地域で喘息および呼吸器疾患の症状がある人は62.9%、皮膚疾患は48.9%と、いずれも対照地域の3~4倍高い数値が見られた。
-住民に共通した症状は、深夜や明け方に乾いた咳が出たり、呼吸の早まり、目の痛み、鼻づまり、痰、皮膚の痒みなどだった。
-呼吸器疾患の最も大きな外部要因となりうる喫煙の場合、地域別の差はなく、調査地域にセメント工場以外に呼吸器に影響を与える別の要因がないことを考慮すると、これはセメント工場の汚染物質が地域住民の呼吸器に影響を与えているものと判断できる。
-これは過去の関連論文(セメント粉塵にさらされた地域住民の健康障害に対する調査・チョン・ヘグァン他著、韓国易学会誌、1992年)における、“セメント工場周辺の地域住民には呼吸器疾患や皮膚疾患が多く、これらはセメントの粉塵と関連がある”という報告と一致する。
呼吸器および皮膚疾患に影響を与える原因を確認するため、尿中の重金属を分析した結果、セメント工場周辺地域で代表的な有害重金属であるクロムは、対照地域に比べ最大で3.27倍、水銀は2.24倍高かった。特に、クロムは呼吸器疾患および皮膚疾患と関連があると分析される。
-代表的な有害重金属であるクロムは、工場周辺の双竜5里(双竜セメント)で1.34㎍/g(3.27倍)と最も高く、シンチョン里(現代セメント)1.10㎍/g、立石里(亜細亜セメント)0.81㎍/gの順で、これらはすべて対照地域よりはるかに高かった。
-水銀も双竜5里で2.06㎍/g(2.24倍)と最も高く、以下、シンチョン2里1.72㎍/g、立石里1.42㎍/gと、対照地域より高かった。
-調査対象者の健康状態に影響を与える要因を調べるため、多次元ロジスティック回帰分析を行なった結果、クロムの濃度が高いほど呼吸器疾患および皮膚疾患の症状がある人が多かった。(クロムが呼吸器疾患および皮膚疾患と関連があることを意味する)
-外国の文献でセメント工場周辺住民と対照地域の住民の血中クロムなどを比較した研究を見ても、統計的にクロムの濃度が高く、接触皮膚炎に対する貼布試験でも高い陽性率を見せたことが報告されている。
以上の調査結果および関連文献を総合すると、
-セメント工場の住民は喘息および呼吸器疾患、鼻炎、皮膚疾患など環境性疾患が対照地域に比べ3~4倍高い。
-重金属に関する尿検査の結果、有害重金属のクロムや水銀などが対照地域に比べ2~3倍高く検出された。クロムの場合、濃度が高いほど呼吸器疾患と皮膚疾患の症状が見られるケースが多く、関連性があることが分かった。
-国内外の関連文献を見ると、セメント工場周辺住民から呼吸器および皮膚疾患がセメントの粉塵と関連があり、セメント工場周辺住民からクロムなど重金属が検出された。
-つまり、セメント工場の汚染物質にさらされた住民の深刻な環境性疾患は、粉塵に含まれるクロムなどの有害物質によるものとみられる。これは、これまで社会的に話題になってきた住民の健康被害がセメント工場の汚染物質によるものであることを科学的に説明するものといえる。
一方、去る6月27日、国立環境科学院が発表したセメント工場による住民の健康への影響調査結果と比較検討してみると、
-科学院の調査でセメント工場周辺地域でアレルギーおよび呼吸器症状の発生率が一貫して増加した所見が見られるのは、環境正義の調査結果と一致する。
-重金属への露出評価で対照地域とされた中東面と下東面はいずれも廃鉱地域で(中東面は06年環境部で実施した廃鉱山精密調査で汚染2等級判定)、重金属露出評価に限界があったが、
-これは環境正義の調査でセメント工場地域のクロムなど重金属濃度が対照地域より明らかに高かったため
-国立環境科学院と環境正義の調査結果を総合的に分析すると、セメント工場の粉塵汚染による住民と子どもの健康被害が科学的に明確に説明できる。
このため、今後、住民の健康被害対策として次のような措置が必要だと思われる。
-政府は環境性疾患や咽頭癌など住民の健康被害を登録・評価する作業を通じ、実質的な被害規模を把握し、住民に対する治療および補償などの対策を立てなければならない。
-セメント業者は汚染原因者として環境管理改善の努力など環境的な責任を取るだけでなく、環境基金の造成などを通じて住民の健康被害に対する社会的な責任を明らかにしなければならない。
-セメント工場内のすべての粉塵排出源の密閉処理を原則とし、専門家や地域住民が参加する合同点検が行われなければならない。また、有害廃棄物の無分別な利用で粉塵など汚染物質の毒性が強まるため、有害性の高い指定廃棄物の使用を禁じ、廃棄物の有害物質(クロムや有害重金属など)のガイドラインを作成し、使用を厳しく制限しなければならない。
-セメント工場の環境汚染を常に監視できるよう工場周辺に大気汚染測定網を設置し、地域住民に常時的な環境監視権を与えなければならない。
|