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生態系 ラムサール条約締約国会議一周年を迎えて

韓国全土 政府はラムサール精神を取り戻し、湿地破壊を中断せよ

 2008年10月28日から11月4日に慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)市で第10回ラムサール条約締約国会議が開催されてから1年がたちました。当時、会議は史上最大規模で開催され、「人類の福祉と湿地に関する昌原宣言文(ラムサール条約締結国会議決議文)」など湿地の保全と賢明な利用に関する32件の決議文を採択し、盛況裏に終了しました。

 しかしラムサール条約締結国会議が開催されて1年が経過した今、会議での多くの決議と約束は守られていないまま、韓国の湿地がむしろ一層破壊の脅威にさらされているという現状に、私たちは慨嘆せざるを得ません。

 会議の開幕式に出席した李明博大統領は、「韓国はラムサール条約締結国会議を契機に、湿地保護区域とラムサール条約登録の湿地を持続的に増やし、ラムサール条約の模範国家になる」と述べました。しかし会議から1年が過ぎた今、国際的に重要で保全の価値を持つ韓国の湿地60カ所余りのうち、ラムサール条約で湿地として指定された所はどこもありません。2008年10月1日に湿地保護地域の2カ所が新たに指定されましたが、この中の1カ所は昨年すでにラムサール条約で湿地として登録されていたため、実際に保護地域として追加された湿地は、面積0.126平方kmの済州島の「1100高地の湿地」の1カ所だけです。

 韓国政府が提案して会議で採択された昌原宣言文は、「当事国が湿地の保全と賢明な利用を世界の政策決定権者に促し、湿地の破壊と損失を中断して湿地の自然な生態特性を保全しなければならない」ということを決議しました。けれども韓国政府は会議が終わるとすぐに4大河川事業の計画を発表し、4大河川一帯の重要な河川湿地と自然の生態系の保全を根本的に脅かしています。

 2008年の会議で採択された「湿地と河川流域の管理:統合的な科学技術指針に関する決議文X.19」は、条約に加入した当事国が「河川流域の管理において、湿地の保全と賢明な利用を統合」させるよう促し、「気候変動と湿地に関する決議文X.24」においても「気候変動の緩和と適応に関する国家の政策によって湿地の生態特性を維持」することを促しましたが、韓国政府は気候変動に備えると述べながらも湿地の生態特性を大きく損なう4大河川事業を推進し、河川湿地の保全を脅かしています。4大河川事業推進のために政府が作成した国家湿地目録にある130カ所の湿地が、消滅する危機に瀕しています。

 また「水鳥飛行ルート保全のための国際協力増進に関する決議文X.22」において、「黄海一帯で広がっている干潟の埋め立てや汚染などによってシギ・チドリが危機に瀕しており、これを保全するためには国際的な協力が必要であり、保護地域を拡大しなければならない」と決議されました。しかし韓国は、会議から4カ月後の2009年3月に、仁川松島(インチョン・ソンド)干潟を含む11カ所総面積8.1平方kmの沿岸埋め立て計画を承認し、世界最大規模で干潟を破壊するセマングム干拓事業は、農地造成という本来の目的を失ってしまったまま継続して進められています。

 湿地保護地域である長峰(チャンボン)島干潟と文化財保護区域に指定されている江華(カンファ)島干潟と国際的に絶滅危惧種であるヘラサギの繁殖地は、それぞれ仁川湾潮力発展事業と江華潮力発展事業によって、大いに毀損される危機に瀕しています。また韓国の干潟のうち、もっとも保全状態が良好な加露林(カロリム)湾の干潟は、絶滅危惧野生動植物II級であるアザラシの生息地ですが、ここもまた加露林湾潮力発展事業により毀損される危機に瀕しています。

 韓国最大の渡り鳥渡来地として湿地保護地域であり天然記念物第179号として指定されている洛東江(ナクトンガン)河口は、文化財保護区域を半分に縮小しようという計画だけでなく、冬の渡り鳥の核心的な採食地を二分するオムグン大橋建設と国際新空港建設計画により、渡り鳥渡来地としての基盤が根本的に脅かされています。

 「国際的に重要なラムサール湿地の現状に関する決議文」は、韓国政府が韓国の「湿地保護地域と湿地である生態系景観保全地域での重要な生態的特性の変化について、ラムサール事務局に報告」するようにしたほど、韓国の湿地毀損に関する国際的な関心は高いのです。しかし、京仁(キョンイン)運河とソウル市の漢江ルネッサンス、京畿道の漢江を結ぶ6大事業と連携し、新谷(シンゴク)水中堰を約14km下流に移して漢江下流一帯で大型船舶を運航しようとする計画は、漢江河口の湿地保護地域を大いに脅かしています。

 それだけでなく、済州島のカンジョン村沿岸は珍しい軟サンゴ群落が発達した場所で天然記念物として指定されており、ユネスコ生物権保全地域に隣接した場所ですが、海軍基地建設のための埋め立てが推進されています。

 2008年の会議において韓国政府は、日本政府と共同で「湿地システムとしての水田の生物多様性増進に関する決議文」を発案し、「水田の動植物像と生態的機能、湿地システムとして水田の生態的価値を維持してきた稲作地域共同体の文化に関する調査を活性化させるよう奨励」するなどの内容が決議文として採択されましたが、そのような内容を履行するための具体的な努力には、まったく至っていません。

 このように、ラムサール条約締結国会議から1年が経過した今、韓国の湿地は保護を受けるどころか各種開発事業によって全国各地の重要な湿地が破壊され、毀損される危機に瀕しています。政府は昨年から国家基本発展戦略として低炭素グリーン成長を採択していましたが、グリーン成長という名前は行方をくらまし、各種開発事業によって、むしろ湿地を破壊しています。

 今からでも政府は湿地の保全と賢明な利用といったラムサール条約の基本精神を取り戻して大規模な湿地破壊事業を即刻中断し、ラムサール条約の模範国家になると述べた李明博大統領の約束を履行することを要求します。


セマングム干潟干拓事業後、貝が大量に死んでいる様子 ⓒチュ・ヨンギ

2008年のラムサール会議の際の昌原コンベンションセンター前でのパフォーマンス ⓒ環境連合 チェホン・ソンミ


記事執筆、翻訳
日付 2009-10-27
筆者 馬 龍雲 (Ma Yong-Un)
媒体 寄稿
団体名 環境運動連合
(KFEM)
URL http://kfem.or.kr/
翻訳者 萩庭雅美

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