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クロツラヘラサギの保全にむけて
《クロツラヘラサギとは》
クロツラヘラサギは、生息数が少なく、世界で約1200羽しか確認されていない希少種で、IUCN(国際自然保護連合)のレッドデータリストでは危機的絶滅寸前種、日本版レッドデータブック(環境庁1998)では絶滅危惧種1A類に指定されています。「サギ」という名前がついていますが、「トキ」の仲間です。
繁殖地はこれまで、朝鮮半島西海岸のいくつかの無人島で確認されている程度で、越冬地は台湾南部、香港、ベトナム、日本、韓国済州島などが知られています。干潟、河口、水田、マングローブなどの湿地を生活場所として越冬します。
The Hong Kong Bird Watching Society Limited.(香港)によると、2004年1月の一斉調査で世界のクロツラヘラサギ生息数は1206羽です。 なお、1997年1月は535羽でしたから、7年間で約700羽が増えたことになります。これにはさまざまな理由が考えられますが、中国大陸沿岸部の開発が影響して、南下している可能性や、調査の精度が増したことなどが大きいと考えられています。それでも、まだ1200羽であり、絶滅の危機に瀕した種類には違いありません。
《国内のクロツラヘラサギ越冬地》
現在の日本の主な越冬地は九州・沖縄で、福岡県博多湾、熊本県氷川河口、宮崎県一ツ瀬川河口、鹿児島県万之瀬川河口、鹿児島県別府川河口や沖縄県漫湖周辺などです。1995年ころは、10羽以上越冬する場所は博多湾今津干潟だけでしたが、ここ数年は越冬地が拡大し、合計すると約150羽前後が干潟や河口部で越冬しています。
1995年7月、クロツラヘラサギ研究の第一人者である朝鮮大学校の鄭鐘烈教授は繁殖地の朝鮮半島西岸のトク島で繁殖したヒナにプラスチック製の足輪をつけ標識調査を実施されました。その個体は、同年の11月5日に鹿児島県出水市高尾野町の干拓地で発見され、クロツラヘラサギが朝鮮半島を南下する経路で日本(九州)に渡ってくることが確認されました。
《クロツラヘラサギの危機》
九州最大の越冬地は、福岡市の博多湾です。ここでは今津干潟、博多湾人工島を中心に、例年合わせて30羽以上のクロツラヘラサギが越冬しています。しかし人工島埋め立ての進捗によってクロツラヘラサギが利用している擬似的湿地がなくなる危険が迫っています。また八代市の氷川河口の越冬地でも新幹線の建設が進んでおり、生息地の保全が心配されています。
また、世界最大の越冬地は台湾の會文渓河口です。600羽?800羽が観察されています。養魚場や水域からなる約1000haが生息地になっています。しかし03年暮れには、ボツリヌス菌によると思われる集団感染で約70羽が死亡しました。
《クロツラヘラサギの保全にむけて》
クロツラヘラサギの保全については、韓国や台湾などで国際的なシンポジウムが行われる等など意識の高まりが伺えます。また日本においても、2001年から05年までの「第2期アジア・大平洋地域渡り性水鳥保全戦略」でも保全計画が作成され、衛星通信による渡りルートの解明などが始まりました。
私たちのクロツラヘラサギ越冬状況調査も4年目を迎え、日本野鳥の会や環境省とも連携しています。
私たちの調査や情報収集はクロツラヘラサギの生息状況を通じて、干潟や湿地の大切さをもう一度考えてみようと言う思いから始められました。集められた資料はクロツラヘラサギ生息地保全にとって大事なデータになることは間違いありません。
これを、契機としてクロツラヘラサギを多くの人々が知り、それぞれの生息地が国際的に重要な環境であることを知り、そのことが干潟や湿地の保全につながっていくことを願っています。
(参考URL)Black-faced Spoonbill.com
http://bf-spoonbill.com/index.html
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